厚生労働省医政局医事課から夏季省エネルギーの取組について

都道府県師会会長 様
いつもお世話になっております。
厚生労働省医政局医事課から夏季省エネルギーの取組について周知依頼が届いていますのでご確認の上、皆様にご周知のご協力をお願いいたします。
 事務連絡 

令和5年8月21日 

関係団体御中

厚生労働省医政局医事課

夏季の省エネルギーの取組について(周知依頼)

日頃より、医療行政の推進に多大なる御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
標記について、令和5年6月9日に開催された省エネルギー・省資源対策推進会議省庁連絡会議において、別添1のとおり決定されました。
つきましては、より高効率な設備・機器の導入、ディマンドレスポンス契約の活用など、省エネルギーの取組に一層御努力いただくよう宜しくお願い致します。
また、別添2において、電力需給ひっ迫時の連絡体制の再点検や節電対応の準備についてまとめておりますので、ご参考にしていただければと存じます。
貴団体におかれましては、これを御了知いただくとともに、各関係団体等に対し周知等の御協力をお願い致します。

[添付資料]
 1 

 夏季の省エネルギーの取組について

令和5年6月9日

省エネルギー・省資源対策推進会議省庁連絡会議決定

近年、我が国の最終エネルギー消費量は減少傾向にあるものの、オイルショック以降、エネルギー消費量が大幅に増加した家庭・業務部門をはじめとして、各部門それぞれ更なる省エネルギーの取組が必要である。大半の化石エネルギーを海外からの輸入に依存する我が国においては、エネルギー消費効率の向上を徹底して進め、エネルギー価格の変動等に柔軟に対応できる経済社会を築く必要がある。一方で、ロシアによるウクライナ侵略などの影響により、世界規模でエネルギー安定供給の不確実性が高まり、原油を始めとするエネルギーの国際価格の上昇による国内の経済活動への打撃など、エネルギーの安定供給を巡る課題は複雑化・深刻化しており、更なる省エネの取組は急務である。さらに、世界は地球温暖化という共通の課題に直面しており、これらの解決に向けて、国内外のエネルギー消費効率の改善を一層促進することも必要である。

2021年10月22日に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」では、「2050年カーボンニュートラル、また、野心的な2030年度の温室効果ガス排出削減目標の実現に向けては、徹底した省エネルギーを進める」、「産業部門、業務部門、家庭部門、運輸部門において、技術的にも可能で現実的な省エネルギー対策として考えられ得る限りのものをそれぞれ積み上げ、最終エネルギー消費で6,200万kl程度の省エネルギーを実現することによって、2030年度のエネルギー需要は280百万kl程度を見込む。」とされた。また、2023年2月10日に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」においても、「省エネルギー(以下「省エネ」という。)は、エネルギー使用量の削減を通した脱炭素社会への貢献のみならず、危機にも強いエネルギー需給体制の構築にも資するため、家庭・業務・産業・運輸の各分野において、改正省エネ法等を活用し、規制・支援一体型で大胆な省エネの取組を進める。」とされている。

これを実現・達成するためには、国民一人一人の理解と行動変容を促進するとともに、産業界や政府、国民が一丸となって徹底した省エネルギーの取組を実施する必要がある。

本会議では従来から、エネルギーの需要が増大する夏季(6月~9月)及び冬季(11月~3月)に、省エネルギーの重要性を踏まえ、取組を浸透させるため、政府自らの取組を確認するとともに、各方面に省エネルギーの取組を呼び掛けてきた。特に、2021年度冬季以降の電力需給見通しについては、追加の対策を講ずるなどしてようやく安定供給に最低限必要な予備率を確保するに至っており、2023年度夏季の電力需給についても、東京エリアでは引き続き厳しい状況が見込まれている。また、前述のとおり、国際情勢が我が国の燃料や電力・ガスの安定供給に与える影響については、予断を許さない状況であり、国内の各主体における省エネへの取組は引き続き重要なものとなっている。

そのため、2023年度夏季においては、政府自らが率先して取り組むとともに、引き続き各方面に省エネルギーの取組を呼び掛けつつ、国、地方公共団体、事業者及び国民が一体となった省エネルギーの取組を推進することとする。2 

Ⅰ.国民一人一人の理解と行動変容の促進

2050年カーボンニュートラル及び2030年度削減目標の実現に向けて、暮らし、ライフスタイルの分野でも大幅なCO2削減が求められるが、具体的な行動に結びついているとは言えない状況にある。そのため、2022年10月、「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」を開始した。この国民運動は、国民の行動変容、ライフスタイル変革を促すため、衣食住にわたる国民の将来の暮らしの全体像「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしの10年後」を提案するとともに、同時に発足した官民連携協議会において、自治体・企業・団体等の参加の下、脱炭素と豊かな暮らし創りの両立に向けた取組を各地で展開し、国民の行動変容を強力に後押しすることを目的とする。具体的な取組については、以下のとおり。

・新たに開設した新しい国民運動webページに、企業・団体等から登録いただいた、デジタルワークなどの多様で快適な働き方・暮らし方や、豊かな暮らしを支える脱炭素製品・サービスなど、国民の脱炭素型ライフスタイルへの行動変容を促す情報を積極的に発信。

・新しい国民運動官民連携協議会について、約600以上の自治体・企業等に参画いただき(2023年5月現在)、省エネ住宅、サステナブルファッション、デジタルワークなど、国民の脱炭素と豊かな暮らし創りの両立を後押しする取組について、官民連携でのキャンペーンやプロジェクトを展開。

・省エネルギーの取組に対する国民各層の理解と協力を得るため、家電製品の省エネ性能カタログによる情報発信やWEBシステム「省エネ製品買換ナビゲーション『しんきゅうさん』」の活用による省エネルギー・脱炭素社会の構築に貢献する製品への買換え促進、省エネルギー月間の広報など、産業、業務、家庭、運輸の各部門において、きめ細かな情報提供及び普及啓発活動等を実施する。

・「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」における住宅の省エネ化に向けた普及啓発キャンペーンにより、新築住宅のZEH化・既存住宅の断熱リフォームと省エネ家電への買換えを促進する。

・自治体の庁舎・建築物の省エネルギー改修・建替えを進め、地域の省エネルギーの先進事例として、地域全体への波及効果を含めて地域の省エネルギー化を実現する。

・各家庭のライフスタイルに合わせた省エネルギー、省CO2対策を提案し、効果的な対策に結びつける「家庭エコ診断」を引き続き実施し、更なる認知度の向上を図る。

・徹底した省エネルギーを確実に達成するため、省エネルギー・脱炭素社会の構築に貢献する製品、サービス、ライフスタイルを選ぶ「COOLCHOICE」により、具体的な行動変容を促進し、旧式の製品等から省エネルギー・脱炭素社会の構築に貢献する製品等への切り替えや、クールビズ実施率の向上などを進めていく。

また、国民一人ひとりが自分ごと化して取り組める「ゼロカーボンアクション30」の周知により、脱炭素社会の理解醸成及びライフスタイルの行動変容を促す。

・このほか、移動の脱炭素化を目指して、省エネに資する電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)または燃料電池自動車(FCV)と再生可能エネルギー電力を組み合わせた「ゼロカーボン・ドライブ(略称:ゼロドラ)」を呼びかけるとともに、ゼロドラの実践を後押しする取組を進める。3 

Ⅱ.産業界(関係団体、関係業界等)、地方公共団体、NPO等に対する周知及び協力要請

以下に掲げる事項について、産業界(関係団体、関係業界等)、地方公共団体、NPO等に対し、事業者及び家庭等に省エネルギーの呼び掛けを行うよう、協力を要請する。

1.住宅・ビル等関係について

①住宅・ビル等の省エネルギー対応

2021年10月に閣議決定された、第6次エネルギー基本計画においては、2030年に目指すべき住宅・建築物の姿として、「2030年度以降新築される住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能の確保を目指す」とともに、「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す。」とされている。

これを踏まえ、住宅・ビル等の新築、改修に当たっては、省エネと再エネを組み合わせて一次エネルギーの収支をゼロとすることを目指したZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化を進めること。

また、建築物の熱の損失は、多くが開口部を経由して行われることに鑑み、総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会建築材料等判断基準ワーキンググループにおける議論の結果、窓(サッシ及び複層ガラス)の建材トップランナー制度の新たな目標基準値が、2030年度までに窓全体の熱貫流率が市場平均で2.08[W/m2・K]とするように引き上げられたことを踏まえ、断熱性能の高い適切な窓を選択すること。

加えて、ZEHデベロッパーやZEBプランナーにおいては、第6次エネルギー基本計画においても、「公共建築物における率先した取組を図る。」とされていることを踏まえ、ZEH-M設計ガイドライン(参考URL①)や、ZEBパンフレット、ZEB設計ガイドライン(参考URL②)等を活用し、地方公共団体に対してZEH・ZEB化の検討を積極的に働きかけること。

(参考URL①:https://sii.or.jp/zeh/zeh_guideline.html)

(参考URL②:https://sii.or.jp/zeb/zeb_guideline.html)

また、住宅・ビル等の販売又は賃貸を行う事業者は、その販売又は賃貸を行う住宅・ビル等について、省エネ性能表示のガイドラインに基づき、エネルギー消費性能を表示[図1]するよう努めること。また、表示に際しては、ZEH-Mマーク、ZEBマーク[図2]等を活用して、光熱費低減等のZEH-M、ZEBのメリットを積極的に発信すること。4 

[図1] ガイドラインに基づく第三者認証の例

[図2]ZEH-Mマーク、ZEBマーク

加えて消費者への認知度向上を図るため、ZEHビルダー/プランナーをはじめとするZEHに関係する事業者は、2021年3月に経済産業省、国土交通省及び環境省の3省連名で発出した「ZEHの認知度向上に向けた官民連携による広報活動について(依頼)」を踏まえ、インターネットやテレビ、雑誌等の広報媒体を介して、ZEHマーク[図3]とともに光熱費低減やヒートショック関連の健康リスクの低減といったZEHのメリットを積極的に発信すること。

[図3]ZEHマーク

また、ディマンドリスポンスに対応した時間帯別・季節別の電気料金メニューが選択できる場合はその活用に努めるとともに、エネルギー管理システム(HEMS・BEMS等)の導入により、住宅の住まい方、ビルの運用方法の改善によるピーク対策及び省エネルギーに努めること。5 

ビル等においては、省エネルギー診断やESCO事業等を活用し、より高効率な設備・機器の導入や適切な運転方法への見直し等により、省エネルギー化を進めること。

②エネルギー消費効率の高い機器の選択・購入

家電機器、OA機器等のエネルギー消費機器の購入に当たっては、米国環境保護庁が定めた国際エネルギースターロゴ[図4]の表示及びエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)に基づくトップランナー制度や小売事業者表示制度による省エネルギー性能に関する情報[参照]等を参考としつつ、省エネルギー性能の高い機器の選択に努めること。選択に当たっては、初期投資負担を伴うものの、これが中長期スパンで回収できることに留意すること。

特に、家庭用エアコンディショナー、照明器具、テレビジョン受信機、家庭用電気冷蔵庫、家庭用電気冷凍庫、温水機器(ガス、石油、電気のいずれのものも含む。以下同じ。)及び電気便座の購入に当たっては、より省エネルギー性能の高い製品を選択する観点から、小売事業者表示制度を踏まえた最新の統一省エネラベル[図5]による多段階評価(★マーク)等の省エネルギー性能表示に留意し、省エネルギー性能の高い製品の選択に努めること。

なお、家庭用エアコンディショナーについては、冷暖房が、家庭のエネルギー消費量の中でも特に大きな割合(約3割)を占めていること等を踏まえ、2022年5月に家庭用エアコンディショナーの新たな目標基準値や目標年度(2027年度または2029年度)等について策定した。これに伴い、2022年9月に小売事業者表示制度を改正(2022年10月施行)し、統一省エネラベルの変更を行ったことを踏まえ、省エネルギー性能(APF)の高い製品の選択に努めること。

エネルギー消費機器の製造・輸入事業者・小売事業者(インターネットによる販売等を行う事業者も含む)は、国際エネルギースターロゴや小売事業者表示制度に基づく表示により、省エネルギー性能に関するきめ細かな情報提供に努めること。

[参照] 資源エネルギー庁ホームページ(省エネ型製品情報サイト)

https://seihinjyoho.go.jp/

[図4]国際エネルギースターロゴ6 

[図5]統一省エネラベル※

(家庭用エアコンディショナーのイメージ)

(電気温水機器のイメージ)

※温水機器以外は、製品のサイズやネット取引等の限られたスペースで使用する場合は右側のミニラベルを活用すること。

③機器の効率的な使用

・冷蔵庫に関すること

無駄な開閉を控えるとともに、開閉は手早く行うこと。食品の傷みに注意しつつ、適切な温度設定とすること。放熱スペースの確保のため、周囲と適切な間隔を空けて設置すること。

・照明に関すること

不要な照明はこまめに消灯すること。

・テレビに関すること

部屋の明るさに合わせた適切な明るさで視聴するとともに、視聴しない時はこまめに消すこと。

・冷房に関すること7 

適切な室温管理(健康を第一に、温度は柔軟に設定)をすること。エアコンのフィルターは適切に清掃すること。なお、感染症を予防するため、換気扇や窓開放によって換気を確保すること。また、シーズン前のエアコンの早期点検や試運転について積極的な普及啓発を行う等、熱中症を予防するための対策等を実施すること。

・調理に関すること

ガスコンロは、炎が鍋底からはみ出さないように調節すること。炊飯器は、タイマーを上手に使うなどにより、なるべく保温時間を短くすること。

・給湯に関すること

シャワーは不必要に流したままにしないこと。入浴は間隔をあけずにし、追い焚きの回数を減らすこと。

2.工場・事業場関係について

①工場・事業場における省エネ法に基づくエネルギー管理の実施

以下に掲げる取組の推進を含め、省エネ法に基づく適切なエネルギー管理を実施すること。なお、特定事業者においては、平成28年度から開始した「事業者クラス分け評価制度」によるSABCの評価も踏まえた取組を行うこと。

・事業者全体としての管理体制の整備、責任者の配置及び省エネ目標に関する取組方針等の策定を通じて、省エネルギーを推進すること。

・省エネ法の「工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」に基づく設備の管理標準の策定・実施など、適切なエネルギー管理を実施すること。

・省エネ法に基づく定期報告におけるエネルギー使用量やエネルギー使用の合理化の取組等に関する情報の開示について検討すること。

・第208回通常国会で成立した改正省エネ法の考え方に基づき、電気の需給状況が厳しい時間帯から、再エネ出力制御が行われるなど、余剰再エネ電気が発生している時間帯への電気需要のシフトを心がけること。

また、エネルギー使用量が一定規模以上の事業者(年間エネルギー使用量1,500kl以上の工場等設置者)となった場合には、国へエネルギー使用状況届出書の届出を行うこと。(別添参照)

[参照] 

~事業者クラス分け評価制度~

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/overview/institution/index.html

②自主的な省エネルギーの取組の推進

一般社団法人日本経済団体連合会傘下の業種をはじめとして、2030年に向けた産業界の地球温暖化対策の自主的取組である低炭素社会実行計画を策定している事業者にあっては、その実現に向け、工場・事業場において技術的に最高水準の省エネルギー機器・設備の導入及び設備のきめ細かな運転の管理等により、省エネルギーの取組を徹底して推進すること。

同計画について未策定の業種に属する事業者においても、参加する業界団体等と連携して計画8 

の早期策定に努めるとともに、策定に至るまでの間も、使用していないエリアの消灯の徹底や空調における適切な温度管理を含め、自主的・計画的に省エネルギーの取組を徹底して推進すること。なお、感染症を予防するため、換気扇や窓開放によって換気を確保すること。

③電力需給の状況に応じた対応やディマンドリスポンスへの取組について

2022年3月の電力需給ひっ迫時に電力需給ひっ迫警報により約8割が普段と異なる取組を行い、一定の節電効果があったことも踏まえ、電力需給の状況に応じた適切な対応がとれるよう、節電対策の事前の策定や連絡体制の構築、ディマンドリスポンスの取組を推進すること。

特に、小売電気事業者との経済的対価を伴うディマンドリスポンス契約が選択できる場合にはその活用に努めること。

3.運輸関係について

①運輸分野における省エネ法に基づくエネルギー管理の実施

旅客輸送事業者、貨物輸送事業者及び荷主においては、それぞれ省エネ法の「旅客の輸送に係るエネルギーの使用の合理化に関する旅客輸送事業者の判断の基準」、「貨物の輸送に係るエネルギーの使用の合理化に関する貨物輸送事業者の判断の基準」及び「貨物輸送事業者に行わせる貨物の輸送に係るエネルギーの使用の合理化に関する荷主の判断の基準」に基づく取組方針の策定など、適切なエネルギー管理を実施すること。

また、エネルギー使用量が一定規模以上の事業者(旅客輸送事業者及び貨物輸送事業者は保有車両トラック200台以上等、荷主は年間輸送量3,000万トンキロ以上)となった場合には、旅客輸送事業者及び貨物輸送事業者は輸送能力届出書を、荷主は貨物の輸送量届出書を国へ届け出ること。(別添参照)

②公共交通機関の利用促進

通勤及び業務時、並びに休暇におけるレジャー等における移動については、できる限り鉄道、バス等の公共交通機関を利用すること。また、近距離の移動については、徒歩や自転車での移動を図ること。

道路交通混雑の緩和のための時差通勤の促進に積極的に取り組むこと。

なお、公共交通機関の利用に当たっては、会話は控えめにし、混んでいる時間帯の利用は避けること。

③エネルギー消費効率のよい輸送機関の選択

自動車の購入に当たっては、政府、事業者等が提供するエネルギー消費効率に関する情報を参考として、環境性能に優れた自動車(エコカー)の導入に努めること。

とりわけ乗用車については、電動車(ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)。以下同じ。)の導入を検討すること。

貨物輸送に際しては、輸配送の共同化等による積載効率の向上、鉄道や内航海運といった大量輸送機関の積極的活用等、物流の効率化を図ること。9 

④エコドライブの実践

自動車を利用する場合には、エコドライブ10のすすめ(自分の燃費を把握する、ふんわりアクセル、減速時は早めにアクセルを離す、ムダなアイドリングはしない、タイヤの空気圧を適正に保つ等)の実践、交通渋滞の軽減に資するシステムの利用(VICS及びETC2.0サービスの活用等)等により、自動車の利用においても省エネルギーに努めること。また、バイオマス燃料や合成燃料等温室効果ガスの排出の少ない燃料の選択、使用に努めること。

4.その他

①ISO50001の導入検討

PDCAサイクルによるエネルギー効率の継続的向上等を達成するため、エネルギーマネジメントシステム規格(ISO50001)の導入を検討すること。

[参照]資源エネルギー庁ホームページ(ISO50001ポータルサイト)https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/iso50001/

②省エネルギーに資する事業活動の合理化及び従業員等の意識向上

事業者等においては、事務の見直しによる残業の削減等、省エネルギーに資するような事業活動の合理化に努めること。また、在宅勤務(テレワーク)を推進するとともに、その際、照明の工夫や空調の効率化も図ること。

従業員等に対し、省エネルギーに関する知識や技能を身につけ、自ら省エネルギーを実践するための研修・シンポジウム等へ参加する機会を提供するよう努めること。

③地域における各機関の連携等

地域の特性を踏まえた省エネルギーの取組を推進するため、ブロック単位で設置された地域エネルギー・温暖化対策推進会議などを通じて、各地域の政府機関、地方公共団体、経済団体、消費者等との情報共有・連携を図ること。

Ⅲ.政府としての取組

政府としては、自らが率先して一層の省エネルギーを進める観点から、政府実行計画を踏まえ、以下に掲げる事項等を着実に実施することとする。また、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」に基づく基本方針及び「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律(環境配慮契約法)」に基づく基本方針等も踏まえることとする。地方公共団体等に対しても同様の取組を行うよう協力を要請する。

1.設備・機器関係について

①空調に関すること 

・庁舎内における室温の適正管理(健康を第一に、温度は柔軟に設定)を一層徹底するよう空調設備の適正運転を図ること。なお、感染症を予防するため、換気扇や窓開放によって換気を確保すること。10 

・コンピューター室の冷房については、コンピューター性能が確保できる範囲内で可能な限り設定温度を上げる等の適切な運用に努めること。 

・断熱性能の高い複層ガラスや樹脂サッシ等の導入などにより、建築物の断熱性能の向上に努めること。 

・夏季における執務室の服装について、「クールビズ」を励行するとともに、シーズン前のエアコンの早期点検や試運転の積極的な普及啓発、電力需給ひっ迫時における節電に配慮したエアコンの適切な使用の呼びかけ等、熱中症を予防するための対応策について周知すること。 

② 照明に関すること 

・既存設備を含めた政府全体のLED照明の導入割合を2030年度までに100%とすること。また、原則として調光システムを併せて導入し、適切に照度調整を行うこと。 

・照明の使用に当たっては、点灯時間の縮減や適切な照度調整により節電を徹底すること。特に、昼休みは、業務上支障がある場合を除き消灯を徹底し、夜間も、業務上必要最小限の範囲で点灯すること。また、在宅勤務(テレワーク)を推進するとともに、その際、不要な照明は消灯すること。 

③ 電気機器等に関すること 

・パソコン、コピー機等のOA機器、電気冷蔵庫、ルームエアコン等の家電製品等の機器について、旧型のエネルギーを多く消費するものは廃止又は買換えを計画的、重点的に進め、買換えに当たっては、省エネルギー型のものを選択すること。また、これらの機器等の新規の購入に当たっても同様とすること。さらに、機器の省エネルギーモード設定の適用等により、待機電力の削減を含めて使用面での改善を図ること。 

・庁舎内の自動販売機の省エネルギー化を行い、オゾン層破壊物質及びHFCを使用しない機器並びに調光機能、ヒートポンプ、ゾーンクーリング等の機能を有する省エネルギー型機器への変更に努めること。 

2.自動車関係について

①電動車の導入

・政府の公用車については、代替可能な電動車がない場合等を除き、新規導入・更新については2022年度以降全て電動車とし、ストック(使用する公用車全体)でも2030年度までに全て電動車とすること。

②自動車利用の抑制等

・通勤時や業務時の移動において、極力、鉄道、バス等公共交通機関を利用すること。なお、公共交通機関の利用に当たっては、会話は控えめにし、混んでいる時間帯の利用は避けること。

・Web会議システムの活用やテレワークによる対応も含め、職員及び来庁者の自動車利用の抑制・効率化に努めること。

・アイドリング・ストップ装置の活用等により、待機時のエンジン停止の励行等の環境に配慮した運転を行うこと。11 

3.庁舎関係について

①庁舎の整備及び調達

・計画から建設、運用、廃棄に至るまでのライフサイクルを通じた環境負荷の低減に配慮した庁舎の整備を推進すること。

・建築工事の設計者を選定する際、環境配慮契約法の基本方針に則り、温室効果ガスの排出削減技術やノウハウに秀でた者であるかどうかを考慮するなど、技術的能力の審査に基づく選定方法を採用し、環境への配慮を重視した企画の提案などの採用を進めること。

・庁舎の省エネルギー化を進めるため、主要設備等の更新、改修計画の検討に当たっては、当該施設のエネルギー消費量等を踏まえ、総合的な観点からESCO事業導入可能性の判断を行うこと。なお、検討に当たっては、環境配慮契約法により国庫債務負担行為の年限は、当該会計年度以降10箇年度以内に延長されていることに留意すること。

②庁舎等の省エネルギー化に向けた対応

・各府省庁において、大規模な庁舎から順次、その庁舎等施設の省エネルギー診断を実施すること。診断結果に基づき、エネルギー消費機器や熱源の運用改善を行うこと。さらに、施設・機器等の更新時期も踏まえ高効率な機器等を導入するなど、費用対効果の高い合理的な対策を計画、実施すること。

・エネルギー管理の徹底を図るため、各府省庁において、大規模な庁舎を中心に、ビルのエネルギー管理システム(BEMS)を導入すること等によりエネルギー消費の見える化及び最適化を図り、庁舎のエネルギー使用について不断の運用改善に取り組むこと。効率的な運用改善の取組を促進するため、BEMSにより把握した庁舎のエネルギー消費量等のデータ及び活用結果を、各府省庁のホームページにおいて公表する等の方法による情報公開を図ること。

・エネルギー使用量を適切に把握し、把握したエネルギー使用量を、エネルギーの使用者である職員向けに適切な形で公開するなどして、職員の省エネルギーへの実践意識を高めるよう努めること。

・2019年4月に導入された省エネ法における国家公務のベンチマーク制度について、制度の対象となる府省はベンチマーク指標の向上に努めるとともに、当該指標が中長期的に目指すべき水準となることを目指すこと。

4.省エネルギーの普及啓発等について

①省エネルギーの普及活動

地域での省エネルギーの普及活動を行い、イベント等を通じて地域の住民等に積極的に省エネルギーの呼び掛けを行うこと。

なお、政府が主催するイベント等の実施に当たっては、会場の冷暖房の温度設定の適正化、参加者への公共交通機関の利用の奨励、J-クレジット等を活用したカーボン・オフセットの実施、ごみの分別、ごみの持ち込みの自粛・持ち帰りの奨励など廃棄物の減量化、リユース製品やリサイクル12 

製品を積極的に活用するなど、温室効果ガスの削減に資する取組を徹底して行うこと。また、政府が後援等をする民間のイベント、会議等についても、同様の取組が行われるよう促すこと。

また、省エネルギーに関し、国における取組内容等の情報提供を行うこと。

②省エネルギー教育の充実

若年層が、エネルギー問題と社会経済システムやライフスタイルとの関わりについて理解を深め、省エネルギーに向けた行動を実践する態度を身に付けられるよう、学習機会や広報の充実を図るとともに、学校、企業等に対し、若年層が省エネルギーの重要性についての理解を深めることができるような場の提供等について協力を求めること。

③省エネルギー型ライフスタイルの定着

国民にとって省エネルギーが、我慢という消極的なイメージ(生活像)ではなく、新しいライフスタイルとして受け入れられるものとなるよう努めること。

そのため、パンフレットの配布や出前講座等による情報提供を通じて、食生活、ファッション、住環境それぞれの場面における省エネルギーの取組が生活の質の向上につながる価値を創造していること等を伝え、省エネルギーが積極的に受け入れられるような意識の醸成を図ることで、省エネルギー型ライフスタイルの定着を図ること。

④各府省庁による普及広報活動

各府省庁は、別紙の「夏季の省エネルギーに関する各府省庁の普及広報活動」を中心として、幅広く普及活動に努めること。

5.その他

①電気供給契約における環境配慮

電気の供給を受ける契約のうち、入札に付する契約については、入札に参加する者に必要な資格として、電源構成、非化石証書の使用状況及び二酸化炭素排出係数の情報を開示していること並びに二酸化炭素排出係数、未利用エネルギーの活用状況及び再生可能エネルギーの導入状況を必須項目としたポイント制により評価し、合計点が一定の点数を上回ることを定め、当該資格を満足する者の中から落札者を決定する方式(裾切り方式)を活用する等、環境配慮契約法の基本方針を踏まえ契約を締結すること。

②ヒートアイランド対策の推進における連携

ヒートアイランド現象は、地域性が強い問題であり、かつ広範な社会・経済活動と結びついていることから、ヒートアイランド対策の推進においては、地方公共団体、事業者、住民など関係者と十分に連携しながら、対策を進めていくとともに、地球温暖化対策、都市政策、交通政策、エネルギー政策等、関連する分野との連携を図り、地域全体のヒートアイランド軽減に向けて取り組むこと。

③電力需給の状況に応じた連絡体制の構築

電力需給ひっ迫時に節電要請を需要家に対して行う際、関係省庁及び地方支分部局、都道府県等13 

の自治体、各省所管の業界団体に対して節電要請の連絡を迅速に行うための連絡体制を構築すること。

以上の政府としての取組を講ずることにより、国の各行政機関におけるエネルギー使用量を前年度夏季(6月~9月)比で削減するように努めること。また、その効果を把握し、その後の対策にいかすため、アンケート調査等により実施状況のチェック・アンド・レビューとその公表を行う。14 

(別紙) 

○夏季の省エネルギーに関する各府省庁の普及広報活動省 庁 実 施 す る 普 及 広 報 活 動 
内 閣 官 房 1.「夏季の省エネルギーの取組について」(連絡会議決定)について、職員に対し周知することにより、省エネルギーの普及促進を図る。 
内 閣 法 制 局 1.「夏季の省エネルギーの取組について」(連絡会議決定)について、職員に対し周知することにより、省エネルギーの普及促進を図る。 
内閣府 1.政府広報により、夏季の省エネルギーの普及広報活動を各府省庁と連携し行う。 

2.「夏季の省エネルギーの取組について」(連絡会議決定)について、職員に対し周知することにより、省エネルギーの普及促進を図る。 

3.関係団体に対し、夏季の省エネルギー対策の一層の推進について要請する。 

消費者庁 1.省エネルギーの普及促進や、消費生活に関する情報発信の際に省エネルギーの趣旨・意義が反映されることを図るため、「夏季の省エネルギーの取組について」(連絡会議決定)について、庁内等に周知する。 
総務省 1.情報通信産業の関係団体等に対し、テレワーク等の情報通信技術を活用した交通代替や自動車交通の円滑化、物流の効率化など省エネルギーに資する情報通信利用の普及に努めるとともに、省エネルギーの一層の周知徹底を図るよう要請する。 

2.道路交通情報のきめ細かな収集と適切な提供等により交通流の円滑化を図り、省エネルギーを実践するため、ETC2.0対応車載器や3メディア対応型VICS対応車載器の普及促進を図る。 

3. 「夏季の省エネルギーの取組について」(連絡会議決定)について、本省内、地方支分部局等に対し、周知することにより、省エネルギーの普及促進を図る。 

法務省 1.本省内、地方支分部局等に対し「夏季の省エネルギーの取組について」(連絡会議決定)の推進に努めるよう周知徹底を図るとともに、本省内のポスター掲示、ホームページ掲載等を通じ、省エネルギーの普及広報に努め、省エネルギー意識の定着及び実践を図る。 
外務省 1.本省内、関係団体等に対し「夏季の省エネルギーの取組について」(連絡会議決定)の重要性及び推進の周知徹底を図るとともに、省エネルギーの普及広報に努め、省エネルギー意識の改革及び実践を図る。 

 

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 夏の電力需給対策への対応について(依頼)Äb0

「2023年度夏季の電力需給対策」(2023年6月9日電力需給に関する検討会合)において、電力需給ひっ迫時の産業界や自治体との連絡体制等について、事前の確認を進めることとされました。

つきましては、電力需給ひっ迫時の連絡体制の再点検(産業界/自治体)

電力需給ひっ迫時の節電対策の実施に向けた準備

につきまして、ご協力をよろしくお願いします。

資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力基盤整備課